ハツコイ

ドクン、ドクン…

うるさく鳴り響くあたしの心臓。


「…はい」


喉がカラカラに渇き、やっと絞り出したあたしの声。


「桃の妹を近くで見たかったから、桃と一緒に待ってたんだ。」


先輩が言った言葉に驚き、俯いていたあたしは、思わず先輩の顔を見る。



初めて見た、『啓太先輩』の笑った顔。


目が合うのは、思い出してはあたしを苦しめる、”あのとき”が最初。そして、今日が二回目。


『啓太先輩』の笑った顔。

目をそらすことが出来ないよ。


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