プリン・ア・ラ・モード
 いやいやいやいや、まずいでしょ。

「阿木!!!お願い!!!会長に今言ってたこと言わないで!!!」

「やだ」

 会長と同じく、ばっさりと切り捨てる阿木。

「一生のお願い!!!!」

「……はぁ、じゃ、今度アイスのトリプル買ってね♪」
 う、今は金欠状態なのに……。
 仕方が無い。背に腹はかえられないしね。

「了解、絶対言わないでね!!!」
 あれ、そういえば???
 阿木って……

「阿木って、Mだっけ?」
「いや、ドSです」

 即答。
 でも会長もドSだよね……。
 うーん、よく喧嘩とかしないなぁ。

「何?翔がドSだから??」
「分かってるじゃん♪」

 よく“あの”会長のこと「翔♪」って呼べるよね。
 阿木は尊敬に値する人物になるわ。

「じゃ、また明日!明日、“あんなことやこんなこと”の話とか、ノロケ話聞かせてあげるからね~」
「結構です」

 会長と阿木が“あんなことやこんなこと”してるとこなんて、想像するだけで……オエッ。吐き気がしてくる。
 
 じゃあとりあえず帰りますか。

 私はその妄想をふりはらって家に向かって歩き始めた。

 


 ―――――でも、私の前に立ちふさがった黒い影が、それを許さなかった。
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