プリン・ア・ラ・モード
 私は今、街にいる。
 
 でも、好きで来た訳じゃない。

「ねぇ、あたしさ。翔と抜けるからテキトーに言っといて♪」

 阿木に半ば強制的に“合コン”というものに連れてこられた。
 
 でも忘れてた。

 阿木はかなり無責任だったことを。

 私は合コンなんて来たことが無かった。
 誘われたことはあったけど。

 ていうか普通、合コンに彼氏連れて行くものかな???

「んじゃ、よろしく!!」
「わりぃな、うるさい書記」

 阿木も会長も満面の笑みを浮かべている。
 ていうか、私の返事も聞かないでさっさと行っちゃった。
 ま、いっか。

 ここは親友として認めないわけにはいかないしね。


 でもでもでも!!
 やっぱ許さないからね、阿木! 


 だってさ、私、合コン未経験者なワケだよ?
 ていうか、合コンが“合同コンパ”の略だって知ったの昨日だよ??

 そんな親友を1人置いて彼氏と抜けるとかありえないしっ。

 他の女子は他校の人だから知らないし!!

 もー、私も抜けちゃおっかな?

「ね、私、ちょっとトイレしたいから先行っててくれる?」
 合コンメンバーのリーダー的存在――幹事というのだろうか?その幹事の人に向かって一方的に言い放ち、さっさと歩き出す私。

 私の背後では、幹事が驚いているであろう。

 でも関係ないもん!!

 私は行く当ても無く、でもかなりの速さで歩き続けた。

 そして交差点のど真ん中。

 何かアホらしくなって足を止める。

 そしてはたと気づいた。


「ココ、どこ??」

 



 

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