プリン・ア・ラ・モード
「遅い」
 私が一生懸命走ってきて指定された時間までにはギリギリ生徒会室に着いた。
 ただ、生徒会室の重い扉を開けた瞬間にこの氷のような一言。

 私はただでさえ-思考なのにさ…。

「う、すみませんね…」
 これが同学年の男子なら文句を言えたと思う。
 でもさ、今「遅い」って言った人、会長なんだよ?
 しかも男子……。

「もうちょっと優しくしてくれても…」

「うるさい」

 私の文句をばっさりと切り捨てる。
 これが世間一般で言う“ドS”というものなのだろうか。
 
 はあ、とため息をついた私にまた小言が降りかかる。
「ほんと、名前の通り“硝子”みたいに折れやすい心だな」

 いや、だから私の名前はガラスじゃなくて
「ショウコです!!!」
 これだからもう…

 私は特大のため息をもう一つついて、おとなしく自分にあてがわれている所定の席に腰を下ろした。
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