1ミリのキセキ
優樹菜は振り向かなかった。


肩を小さく小さく揺らしながら歩いていった。


口から洩れる泣き声が
やけにはっきりと聞こえた。


そして・・・消えた・・・。


どんなにこの世界に満足したって
別れは辛いんだろうね。


きっと振り返ったら
決心が揺らぐって分かってるんだ。


私にだってこれぐらいの予想はつく。


みんなも。


しばらく誰も口を開かなかった。


愛華の泣く声だけが木霊した。


愛華は優樹菜の姿が見えなくなるまで泣かなかった。


唇を強く噛んで…
こらえてた。



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