それでも君が好き
侑佑さんは・・・
 

   あの日のことを覚えていない。



あの日、あたしは侑佑さんが起きる前に部屋を出たから。

ただでさえ嫌われているのに、これ以上、嫌われたくなかった...



「一人で産むって・・・
簡単に言うけどすごく大変なのよ?!」


「わかってます。
でも、この子の父親に迷惑をかけたくないんで・・・」




侑佑さん...

たとえ貴方が覚えていなくても、
あたしがちゃんと覚えています....。

あなたのカラダにあった、ホクロや傷跡。

その全てを覚えています。



『中絶』という手段もあるけれど、
  
   生まれてくるこの子に罪はない。

苦しむのはあたしだけでいい_...

 侑佑さんには苦しんでほしくない・・・


あたしの苗字が変わった日、決めたの。

“侑佑さんの重荷にならない”って_...

だから困ってても侑佑さんにだけは頼らない。

自分で解決させるの・・・
    それが一番だから_...


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