午睡は香を纏いて
手にしていた桶の中身を、瓶に移し変えた。
今朝の分はこれで終わり、と。
なみなみと揺れる水面を見て、ふう、と息をついた。

あたしの朝の仕事は、水汲みから始まる。
この国には水道なんてものはない。
水が必要な時は、邑の端にある井戸まで汲みにいかなくてはならないのだ。


「ご苦労さん、カサネ。次は卵を採ってきてくれるかい?」


いい香りを放つ鍋をかき混ぜていたフーダが言った。


「はあい。あ、今日はミルク煮だ」

「さっきルイが牛乳を分けてくれたんだ。カサネの好物の、レンズ豆も入れたよ。
さあ、卵を頼むよ。そしたら朝食にしようじゃないか」

「はーい」




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