午睡は香を纏いて
あたしは今、フーダの家で寝泊りしている。
パルルカ平原で野営したあの日から、二日かけてオルガ山脈へ向かった。
そこから半日かけて山中を進み、ようやくオルガの邑へ到着した。


その日から、もう数週間ほど日を重ねた。
慣れない土地で、慣れない生活に戸惑っていたのは、数日のことだった。
今では随分この邑に馴染んできたように思う。
順応しすぎて、自分がこんなに適応力があったのかと驚くくらいだ。


電気も何もない生活は不便にも感じるけど、でも不便さを体で補う生活は、張りがある。
夜、くたくたになって眠るのは、とても気持ちがいいのだとここに来て初めて知った。

でも、こんなに馴染めたのも全て、あたしに親切にしてくれる邑の人たちのお陰だ。サラの記憶もなければ、名残もないあたしを、何の疑いも無く受け入れてくれた人たちには、頭が下がる。
皆が気長に、丁寧にここでの暮らし方を教えてくれたから、あたしは不安なく暮らしていられるのだ。


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