午睡は香を纏いて
「そこまで気負うことないよ。オレもカインも一緒にいるしさ」

「う、うん……」


ぎゅ、と唇を結んだ。と、ドアをノックする音がした。


「こちらの手配は全て済んだ。こっちはどうだ」

「ああ、終わったよ。どう? いいだろ」


顔を覗かせたカインに見せるように、セルファがあたしを押し出した。


「うわ、セルファ! 恥ずかしいって」


自分でもびっくりするくらいのいい仕上がりだけど、気恥ずかしい。


「…………。ああ、いいんじゃないか」


しかしあたしの照れなど微塵も意味がなく。
カインはちろりと視線を流しただけで、ぶっきらぼうに答えた。

……まあね。誉めてくれるなんて思ってませんでしたよ。
 

「支度ができたのなら、行くか。ああ、セルファ、帯刀を忘れるな」

「了解。さ、行こう、カサネ」

「あ、はい」



先を行くカインを追うようにして部屋を出た。


< 260 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop