午睡は香を纏いて
「行ってらっしゃいませ」
長い裾を踏まないように恐々歩いていると、低い声がかかった。
見れば、リネン類を抱えたシルさんが立っていた。
「あ……、どう、も」
「昨日はごゆっくりお休みいただけましたか、ユーマさま」
じ、と目の奥を探るような眼差しを向けられて、はっとする。
ばたばたしていたせいで、昨日のことをすっかり忘れてしまっていた!
それに、あの半球の対珠!
『絶対に手放してはダメ。分かった?』
何故か逆らえない、不思議な声を思い出し、部屋にきびすを返した。
「ユーマ? 急にどうしたのさー?」
「わ、わすれもの!」
驚いた様子のセルファの声を背に、部屋に飛び込んだ。
ええと、確か眺めながら眠りに落ちたんだよね。で、起きたときには持っていなかった。
カウチの周りを這い蹲って調べると、壁との隙間に紅い光の反射を見た。
「あ、あった……」
拾い上げて、ため息。うーん、これ、どこにしまっておこう。
長い裾を踏まないように恐々歩いていると、低い声がかかった。
見れば、リネン類を抱えたシルさんが立っていた。
「あ……、どう、も」
「昨日はごゆっくりお休みいただけましたか、ユーマさま」
じ、と目の奥を探るような眼差しを向けられて、はっとする。
ばたばたしていたせいで、昨日のことをすっかり忘れてしまっていた!
それに、あの半球の対珠!
『絶対に手放してはダメ。分かった?』
何故か逆らえない、不思議な声を思い出し、部屋にきびすを返した。
「ユーマ? 急にどうしたのさー?」
「わ、わすれもの!」
驚いた様子のセルファの声を背に、部屋に飛び込んだ。
ええと、確か眺めながら眠りに落ちたんだよね。で、起きたときには持っていなかった。
カウチの周りを這い蹲って調べると、壁との隙間に紅い光の反射を見た。
「あ、あった……」
拾い上げて、ため息。うーん、これ、どこにしまっておこう。