午睡は香を纏いて
「おやおや、うちは騎士団の入店はお断りしてるんだけどねえ、セルファ?」


人気のない酒場へ入ると、シルヴェーヌさんが端の椅子に腰掛けていた。愉快そうにケイルの煙を吐いている。


「かっこいいだろ? マダム」


おどけてくるりと回ってみせるセルファ。


「まあ、サマになってんじゃないかい? でも、ゼフの方がアタシの好みだね」

「な。ここはオレって言うところだろー」


ぷ、と顔を膨らませたセルファが、顔つきを改めた。


「マダム。何するんだ、とか訊かないの?」

「訊いて欲しいのなら、言いな」

「やらしい言い方するねー」


肩を竦めたセルファに、ちらりと視線を流す。


「こっちの意向はそこの子に伝えといたよ。後はそっちで決めとくれ」

「意向?」


後ろにいたあたしをセルファが振り返る。頷いてみせると、ふうんと小さく呟いた。


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