午睡は香を纏いて
「ようこそお越しくださいました。わたくしはドナ・ハーヌア・ヘヴェナ。
トーマス・ルイ・ヘヴェナの妻にして、サラの母にございます」
豪奢な屋敷の一室。
きらきらした調度品で彩られたその部屋であたしを出迎えてくれたのは、四十をいくつか越した様子の、痩身の女性だった。
深緑のドレスと、調度品にも劣らないアクセサリーを纏い、艶のある金髪を綺麗に結い上げている。
その顔立ちは整っていて、透き通るような碧眼が印象的だ。
「巫女姫をお迎えできましたこと、我が一族の光栄の至りでございます。
夫もこの場に同席したかったのですが、馬を飛ばしても間に合わない場所に出向いております。ご無礼、お許しくださいませ」
落ち着いた声音で言い、ゆったりと頭を下げる姿を、あたしはじっと見つめていた。
この人が、サラの母親。遠い昔、あたしがお母さんと呼んだことのある人、なのか……。
当たり前だけれどカサネとは似ても似つかない。髪の色も、瞳の色も。
だけれど、魂の奥底でつながっているというのだろうか。
「巫女姫様? どうかなさいまして?」
不思議そうに訊かれて、はっとする。思わず見つめすぎてしまったようだ。
「い、いえ。歓迎、ありがとうございます」
堂々と。堂々と。意識しながら、ニコリと笑って見せた。
トーマス・ルイ・ヘヴェナの妻にして、サラの母にございます」
豪奢な屋敷の一室。
きらきらした調度品で彩られたその部屋であたしを出迎えてくれたのは、四十をいくつか越した様子の、痩身の女性だった。
深緑のドレスと、調度品にも劣らないアクセサリーを纏い、艶のある金髪を綺麗に結い上げている。
その顔立ちは整っていて、透き通るような碧眼が印象的だ。
「巫女姫をお迎えできましたこと、我が一族の光栄の至りでございます。
夫もこの場に同席したかったのですが、馬を飛ばしても間に合わない場所に出向いております。ご無礼、お許しくださいませ」
落ち着いた声音で言い、ゆったりと頭を下げる姿を、あたしはじっと見つめていた。
この人が、サラの母親。遠い昔、あたしがお母さんと呼んだことのある人、なのか……。
当たり前だけれどカサネとは似ても似つかない。髪の色も、瞳の色も。
だけれど、魂の奥底でつながっているというのだろうか。
「巫女姫様? どうかなさいまして?」
不思議そうに訊かれて、はっとする。思わず見つめすぎてしまったようだ。
「い、いえ。歓迎、ありがとうございます」
堂々と。堂々と。意識しながら、ニコリと笑って見せた。