午睡は香を纏いて
「は、はじめまして、フィーナです」


確かに、緊張しているようだ。紹介されて、フィーナ姫はぎこちなくあたしの傍までやってきた。
あたしも立ち上がり、向かい合うようにして対峙した。
背の高さもあたしと変わらない。
サラの妹と、サラだったあたしが同じくらいの年だなんて、何だか変な気分。


「パ、パヴェヌのご加護を、巫女姫様」


膝を折って、深々と頭を下げられた。おずおずとあたしを見て、ひきつったような笑みを浮かべる。

ああ、この子、あたしに似てる。

咄嗟に、そう思った。
自分に自信がなさそうなところや、周囲の様子を窺うところは、いつかの自分そのままだった。
言葉一つまともに出てこなくて、微笑む方法も分からなくなって、それでも必死に取り繕うこの子は、あたしとすごくよく似てる。


「お目にかかれて光栄です、フィーナ姫。巫女の、ユーマと申します」


思わず自分から手を差し出すと、フィーナ姫は嬉しそうにふわりと笑った。
ぎゅ、と握りしめていたこぶしを解き、そっとあたしの手に触れた。熱を持った、少ししっとりした手があたしの手を包む。


「ユーマ、様。おきれいなかた」

「え? あ、ありがとうございます」

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