午睡は香を纏いて
――つめたいへやに、ひとりきり。あたしはいつでもひとりぼっち。
 さみしいのはなれたけど、でもかなしくてたまらないよるもある。ばらばらになってちぎれちゃいそうになる。
さみしさをおいだそうとこぼしたなみだは、かわいたゆかにぽたりとおちた。そのちいさなみずおとは、かなしみのみずうみのみなもにきえるの
あたしはかなしみのみずうみのおひめさま――



頭が痛い。何人もの小人が頭の中で跳ね回っているようだ。
至る所がずきずきと痛んで、眠りたいのに眠れない。
もう眠らないといけないのに。

あれ、そういえばどうしてこんなに頭が痛いんだろう。
どうして眠らないといけないんだったっけ?


「……。……!」


誰か、呼んでる。誰を呼んでるの? あたし? ああ、起きなくちゃいけないのかなあ。こんなに眠たいのに。


「……、……ん、あ」


ぴっちり閉じた瞼をどうにか開けると、霞みがかった視界のど真ん中に、懐かしい顔があった。


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