午睡は香を纏いて
「気が付いた!? 大丈夫!?」

「セル、ファ……?」


あたしを見下して、どうしてだか、切羽詰まったような、焦りが前面に出た表情を浮かべている。

へえ、この人もこんな顔するんだ。

もしかして、これって夢? あたしって本当はまだ寝ているのかもしれない。
だってセルファに心配されてる意味が分からないもの。


「気分は!? もう一晩も意識を失ってたんだ」

「意識? よく分からないけど、頭痛で、目が覚めたわ」

「頭痛? 今は? どういう痛み?」

「うー……ん、目を開けたら、ずいぶん平気になったかも。
にしてもセルファ、あんたそれどうしたの? 目元、消えちゃってるじゃない。ペラグリア、綺麗だったのに」


白い肌によく映える、ペラグリアの入れ墨がない。
あの花はあたしのお気に入りだってこと、セルファはよく知っているはず。
それが無くなってるなんて、夢としか考えられない。

驚いたように目を見開くセルファにへらりと笑って見せた。


「髪型も変えたってわけ? 全く、あんたってば女以上にころころ変えるんだから。
でも、いくら夢の中でも花を消したのは頂けないわ」


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