午睡は香を纏いて
フィーナがびくりと身を震わせた。


「ねえ、フィーナでしょう? ああ、あたしとおんなじだわ。燃えるような赤毛にそばかす。
でも、いい? その髪はもう少ししたら綺麗な金に変わるし、そばかすは薄くなってしまうわ。蛹が羽化するように変わって、周りも自分も驚くわよ。
あら、瞳はお父様譲りね。ヘヴェナ家の知に富んだ榛色、あなたが受け継いだのね」


いうことを聞かない手をどうにか動かして、フィーナに向けた。


「夢でも会えるなんて嬉しい。ずっとずっと会いたかったのよ。
ねえ、こっちにきて手を繋いでくれない?
駆け寄りたいところなんだけど、どうしてだか動けないのよ」

「ユ、ユーマ様では……!?」

「ユーマ? いいえ、あたしはサラよ。あなたの姉様。わからない?」


顔を合わせたことなかったし、仕方ないのかなあ。少し寂しくて、笑った。


「ええと、そうだ。絵師グラハムが描いた肖像画を見たことない? 巫女姫昇格の時に描いてもらったやつ。
結構似てるって評判だったんだけど」


記憶を手繰り寄せて言うと、フィーナがおずおずとあたしに近寄ってきてくれた。
信じられないという顔で、横になっているあたしを覗き込んだ。


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