午睡は香を纏いて
『何かいないか、周囲を確認すること』
最初に休憩をとったのは、動物しか来ないような小さな水場だった。
木々が数本立っているその裾を、小川がちょろちょろと流れていた。
あたしは初めての乗馬体験に腰砕けになっていて、馬から降りた途端にその場にへたり込んだ。
痛い。キツイ。
土埃まみれだし、乗ってるだけで体力も気力も減った気がする。
はああ、と脱力していると、大切なことを教えておく、と先の言葉をレジィが言ったのだった。
『平原は隠れる場所が限られているから、分かりやすいんだけどな。
まず、誰かが隠れていそうな場所を見つけて、そこに目を凝らす。
動くもの、光るものがあったら、危ない。
これから休憩するたびに、一番にそれをすること』
身を守る為だから。その言葉に従って、周囲をじい、と見渡した。
何もない、と思う。風にそよぐ草しか、ない。そう言うと、レジィはにこりと笑って。
『ないと分かったら、大丈夫。ほら、喉渇いてないか?』
『渇いた!』
緊張のあまり、喉はカラカラだった。
並んで川の水を舐めている馬の横へ行き、光を反射している水面に両手を差し入れた。
ひんやりとした水が指の間をさらさらと流れていく。
その冷たさを十分堪能してから、掬い上げて喉を潤した。
甘い水に、ため息がこぼれる。
『はー、生き返った』
『そりゃあよかった』
レジィも横に並んで、同じように水を掬い、飲んだ。
その場はすぐに出発し、それからも、所々点在している水場で休憩を繰り返してきた。
あたしはそれら全てで、きちんと周囲を確認して、それはちゃんと習慣づいたようだ。
最初に休憩をとったのは、動物しか来ないような小さな水場だった。
木々が数本立っているその裾を、小川がちょろちょろと流れていた。
あたしは初めての乗馬体験に腰砕けになっていて、馬から降りた途端にその場にへたり込んだ。
痛い。キツイ。
土埃まみれだし、乗ってるだけで体力も気力も減った気がする。
はああ、と脱力していると、大切なことを教えておく、と先の言葉をレジィが言ったのだった。
『平原は隠れる場所が限られているから、分かりやすいんだけどな。
まず、誰かが隠れていそうな場所を見つけて、そこに目を凝らす。
動くもの、光るものがあったら、危ない。
これから休憩するたびに、一番にそれをすること』
身を守る為だから。その言葉に従って、周囲をじい、と見渡した。
何もない、と思う。風にそよぐ草しか、ない。そう言うと、レジィはにこりと笑って。
『ないと分かったら、大丈夫。ほら、喉渇いてないか?』
『渇いた!』
緊張のあまり、喉はカラカラだった。
並んで川の水を舐めている馬の横へ行き、光を反射している水面に両手を差し入れた。
ひんやりとした水が指の間をさらさらと流れていく。
その冷たさを十分堪能してから、掬い上げて喉を潤した。
甘い水に、ため息がこぼれる。
『はー、生き返った』
『そりゃあよかった』
レジィも横に並んで、同じように水を掬い、飲んだ。
その場はすぐに出発し、それからも、所々点在している水場で休憩を繰り返してきた。
あたしはそれら全てで、きちんと周囲を確認して、それはちゃんと習慣づいたようだ。