午睡は香を纏いて
レジィと同じような革の胸当てや、使い込んだ様子の鎧姿の人。
鎖を編んだ前掛けを着ている人もいた。
頭には布を巻いている人もいれば、スキンヘッドもいる。
手にした武器も、大きな斧や、剣。弓矢を携えている姿も多い。
さっきの追っ手の人たちと違い、統一感のない一団だ。

しかも無精ひげをはやした人や、頬に大きな向う傷のある人もいて、全体的に厳つい雰囲気の人ばかり。
失礼ながら、ゼフさんが集団でやってきたような感じで、その迫力たるや、猛獣の群れに十分匹敵するだろう。


だけれど、彼らはみんな満面の笑みをあたしに向けて、
『お帰りなさい』と何度も声をかけてくれる。

ものすごい歓迎ムード。

外見は怖い人ばかりだけど、その表情はすべからく優しい。

これは初対面のあたしにではなく、全てサラへ向けられたものなのだろう。
それは十分知っているけれど、それでもその好意的な様子は、あたしの中にある恐怖心を拭ってくれた。


ああ、本当に、もう安心なんだ。
危険はとりあえず、去ったんだ。


ふ、と肩の力が抜けた。
安堵のため息が、思わず知らずこぼれた。

肺が空気を吐き出したのを何となく感じて、それを最後に、あたしは人生二回目となる気絶を経験した。







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