午睡は香を纏いて
* * *
衝立をいくつも張り巡らせて作った部屋の中央に、湯気を立てた桶がいくつも置かれていた。
ここは草原のど真ん中だし、お湯で体が拭けるだけでもラッキーだな、くらいしか考えていなかったので、豊富にあるお湯に驚いた。
「さ、その服を脱いでくださいましな」
よいせ、と腕まくりをしたフーダさんが言った。
「あの、こんなにたくさん用意するの、大変だったんじゃないですか? あたし水でも十分ですけど」
「せっかくカサネ様の為に用意したんですから、そう言わず。さあさあ、早く」
「ちょ、あの」
桶の横には、火が焚かれていた。
その側で、フーダさんはさっさとあたしの服を脱がせにかかった。
煌々とした灯りの下で改めて自分の体を見ると、随分薄汚れている。
白のシャツは灰色や茶色のまだら模様に変わってしまっていた。
「あらら。これは、洗いがいがあるってもんだね」
「あ、あの、自分でできますから」
「そう言わずに、ほら」
フーダさんは、近所に住んでいる中村のおばちゃんにどことなく似ていた。
作りすぎたから、と煮物を持ってきてくれたり、外で会えば必ず声をかけてくれたりと、随分お世話になった人。
あたしよりも大きな息子さんが四人もいて、スーパーで会うといつでもカゴいっぱいの買い物をしていたっけ。
あたしの警戒心を解くように笑みを絶やさないところや、少し強引なところなんかも、おばちゃんとよく似てる。
あと、少し太めのところも、と言ったら二人とも怒るだろうか。
そんなフーダさんに親しみが湧いて、素直に頷いてしまった。
「あの、じゃあ少しお願いします」
「はいはい」
お湯は程よい温度にまで下がっていた。
それを頭からざぶんとかけると、気持ちよさにため息がこぼれた。
ふー、と空を見上げれば、満天の星。
爽快感と相まって、ちょっとした露天風呂気分だ。
衝立をいくつも張り巡らせて作った部屋の中央に、湯気を立てた桶がいくつも置かれていた。
ここは草原のど真ん中だし、お湯で体が拭けるだけでもラッキーだな、くらいしか考えていなかったので、豊富にあるお湯に驚いた。
「さ、その服を脱いでくださいましな」
よいせ、と腕まくりをしたフーダさんが言った。
「あの、こんなにたくさん用意するの、大変だったんじゃないですか? あたし水でも十分ですけど」
「せっかくカサネ様の為に用意したんですから、そう言わず。さあさあ、早く」
「ちょ、あの」
桶の横には、火が焚かれていた。
その側で、フーダさんはさっさとあたしの服を脱がせにかかった。
煌々とした灯りの下で改めて自分の体を見ると、随分薄汚れている。
白のシャツは灰色や茶色のまだら模様に変わってしまっていた。
「あらら。これは、洗いがいがあるってもんだね」
「あ、あの、自分でできますから」
「そう言わずに、ほら」
フーダさんは、近所に住んでいる中村のおばちゃんにどことなく似ていた。
作りすぎたから、と煮物を持ってきてくれたり、外で会えば必ず声をかけてくれたりと、随分お世話になった人。
あたしよりも大きな息子さんが四人もいて、スーパーで会うといつでもカゴいっぱいの買い物をしていたっけ。
あたしの警戒心を解くように笑みを絶やさないところや、少し強引なところなんかも、おばちゃんとよく似てる。
あと、少し太めのところも、と言ったら二人とも怒るだろうか。
そんなフーダさんに親しみが湧いて、素直に頷いてしまった。
「あの、じゃあ少しお願いします」
「はいはい」
お湯は程よい温度にまで下がっていた。
それを頭からざぶんとかけると、気持ちよさにため息がこぼれた。
ふー、と空を見上げれば、満天の星。
爽快感と相まって、ちょっとした露天風呂気分だ。