午睡は香を纏いて
「急ごしらえの割に、それなりに見られるようになった。カサネの土台からでは、いい出来だよ」

「あー、ソレハドウモ」


いい笑顔で抉ってくるなあ、この人。
でも悪気はないんだろうなあ。
事実を述べているだけというか。


「あんた、もう少し言い方考えな。カサネ、これでもセルファは誉めてるんだよ」

「はい、それはなんとなーくですけど分かります」

「何かひっかかる言い方だな。あー、髪忘れてた。飾り、どうするかな」


あたしの髪を一筋摘んで、セルファさんは道具がたくさん入った箱を見た。


「カサネさあ、どうして髪短いの?」

「え?」


短いって言っても、肩にどうにかつく程度の長さはある。
セルファさんに不思議そうに聞かれて、こちらも首を傾げてしまう。


「普通の長さじゃないですか?」

「え? ああ、そうか。カサネのいたところはこれが普通なのか」


箱からあたしに視線を向けて、納得したように言った。


「こっちは違うんですか?」

「ああ。女性の正装は髪を結い上げなくちゃいけないからな。
長さの足りない幼子ならともかくとして、カサネくらいの年の女がこんな長さなんてことはないね」


おお、文化の違い。
そうか、この長さは異端というわけか。


「でもまあ、短いのも新鮮でいいね。カサネのいた世界では、女性の髪の長さに縛りはないんだ?」

「そうですね。好みの問題です。余りいなかったけど、坊主頭の女性もいましたよ」

「坊主!?」


セルファさんが急にいきいきとした反応を見せた。


「本当に? 罪を犯したとかじゃなくて?」

「違いますよ。たくさんあるおしゃれの中の一つです。この世界では出来るのか分からないけど、髪の色も好みで変えてました」

「は! 色を変えるってどういうこと!? 鬘(かつらか)とかそういう?
それとも染料みたいなものでもあるの? 何色でもいいの? もしかしてこの色も変えてるわけ?」


あたしの両肩を掴んで聞いてくる様子は鬼気迫っている。
こんなに反応されると、自分から言ったこととは言え、正直戸惑ってしまう。そんなに興味深い話なんだろうか。



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