紅蒼ノ魔女(仮)
うんうん、と一人で頷いていると。



「声に出てる。」



まさしく言い争いの原因である人物がそばに来ていた。



「やぁ、サイリ。

本人に真っ正面から言っていないだけマシでしょ?」



声に出てしまったのではなく、わざと出したのだ。


だってムカついたから。



「だから私にもきかせるべきよ!」


「無理だって言ってるでしょ!」



まだ続いているよ。


よくやるなー。



「サイリはあれ、止めなくてもいいの?」


「別に。

それより話。」



なるほど。


魔女についての話とわかったから、さっさとこちらに来たわけだ。


正しい判断だね。



「リーシィ!」



サイリを僕達が乗っていた馬車に乗せてからリーシィを呼ぶ。


すると、怒りマークを何個も頭の上に浮かべ、戻ってきた。



「あぁ、本当にムカつくわね、あの娘…!」


「まぁまぁ、落ち着いて。

目的の人物はもう乗ってるから、すぐに出発させよう。」



僕達も馬車に乗り込んだ。



「サイリ様!?」



後ろで必死にサイリを探すシュリアがいたが…


気のせいということにした。



_________
___________


出発して少ししてから僕は口を開いた。



「さっき僕がみんなから離れた時、蒼い髪と瞳を持つ男、蒼魔者に会った。」


「蒼色…

また新しい種族ね。」


「僕は運がいいからね。

とりあえず聞けることをできるだけ聞き出そうとしたんだが…」


「無理だったの?」


「いや、聞けたには聞けた。

だが各魔女族に少なくとも一種は魔獣がついている、このぐらいしかわからなかった。

どうして、魔女と人間の仲が悪くなったのか、どうして争うのか、それは頂しか知らないらしい。」



戦争のことはサイリには言えない。


なので争うという言葉をつかい軽く隠した。



< 102 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop