紅蒼ノ魔女(仮)
「心が不安定、という可能性が一番高いわ。

多くの魔女もそういう経験を味わうの。

ほとんどが自分に自信がないっていう感じだけど、それはカイヒには当てはまらない。」



確かに合っているが、少しムカつくのは何故だろう?


馬鹿にされているのかな?



「だから何かしらの変化が絶対あった。

それを見つけること。

これ、次に会うまでの課題よ。」


「はーい。」


「あまりやる気が感じられないのは気のせいかしら?」



気のせいでーす。



「じゃあ私は帰るわね。

魔獣達が心配だから。」



戦争の準備が本格的に始まった今、魔獣達は自分の身を護るのに必死なんだろう。


戦争自体が始まってしまえば、おそらく巻き込まれてしまうから。


僕のところに、魔獣達を護りたいと一匹で来たトラはきっと、魔獣の中で上の立場にあるのだろう。


みんなをまとめるのに忙しいはずだ。



「今日は来てくれてありがとう。」


「いいわよ。

私だって助けてもらう立場なんだからこれぐらいは協力しなくちゃね。」


「そっか。

じゃあまた後で。」



トラは相変わらずの姿で去っていった。


まぁこの短期間で変化されても困るんだけど。


そう、困るんだ。


僕の心が不安定?


止めるか、止めないかで迷っている僕は不安定なのかもしれない。


でもそれは僕の心を変化させた?


わからない、本当にわからない。


僕はただ頭を悩ませた。



「さて、明日はついに紅魔女と会う日だ。」



できれば今日の修行でもとに戻れば良かったんだけど。


それは無理だった。


課題、できるだろうか?


そもそもまたトラに会えるかも微妙だ。


紅魔女の頂は強い。


会ったことはないが断言できる。



「心優しい人だと助かるな。」



聞かれることは予想できている。



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