紅蒼ノ魔女(仮)
「そうか、カイヒというのか。

我はハナノアという。

よろしくな。」


「はぁ。

よろしくお願いします。」



見た感じは優しそうだが、力は強大。


それに周りには沢山の紅魔女がいる。


油断だけはしないようにしなければ。



「それで、貴方のご用件とは?」


「わかっているだろう?」



あぁ、わかっているさ。


今の時期、このタイミングで話したいことと言ったら、あれについてだろうからな。



「もうすぐ戦争が始まる。

もちろんお前にも役割があるのだから、もうそろそろ共に行動させなければと思ってな。」



そう、戦争はいつの間にか1週間後になっていた。


時が流れるのは速く、毎日同じように過ごしているだけで、日は移り変わっていくのだ。


特別なことがあろうがなかろうが。



「ふらふらする時間は終了、ということですか?」


「そういうことだ。」



そう言ってハナノアは欠伸をした。


人と話している時に欠伸は失礼だと思うんだが。


せめて隠すぐらいしてほしい。


まぁ、こいつは頂という一番上のご身分だからな、そんなのを気にする必要はないのか。



「貴方は僕の素性を知りたいとは思わないのですか?

…この瞳についてとか。」



今はリボンで髪を結っているため紅魔女の姿だ。


つまり、髪は紅色。


だけど僕の瞳は茶色のままだ。



「ん?

お前自身のことなんてどうでもいい。

魔力が強い者が今は欲しいからな。」



どうでもいいときましたよ、こいつ。


確かにその方が助かるが、知ることをしないと信頼関係とかは生まれないよね。


どうやって仲間を信じさせるんだ、と思った。


でもそれはすぐにわかった。


力でねじ伏せてるんだ。


信頼なんて必要ない、強さで上下をつけ、下は上に従うだけ。


なんだ、こいつらは。


感情はきっとある。


ということはそれが当然だと思っているのか?


それとも、そう思っても誰も言えないだけ?



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