紅蒼ノ魔女(仮)
「それにたとえ君が僕のために何かをしてくれていたとしても、僕は君には従わない。」



だって、ハナノアにはないじゃないか。


僕にとって憧れる部分が、僕が尊敬するようなところが。



「僕の上に立つべき者は僕が決める。」


「そんなことが許されると思っているのか!?」


「思ってるよ。」



怒りを燃やしているハナノアから魔力が絶えなく溢れ出している、多分。


お願いだから攻撃はまだしないでほしい。


そうは思うが、言葉は止めない。



「当然だよ。

自分の上に立つ者を自分で決めるのは。

これから、その者についていくことになるんだから。」



自分が認めたのではないなら、従うことなんて無理なんだ、本来は。


ここにいる魔女達、いや、それだけではない。


全ての魔女族の感覚が鈍っているんだ。


ずっと前からそうしてきたから。



「だから僕は、君には従わない。

絶対に。」



よし、話は終わった。


でも何かを忘れているような。



そう思いながら帰路を歩いていこうと思ったら、道をふさがれた。



「どいてくれないかな?」



怒り狂った紅魔女達だ。


いつもはここでセオが護ってくれるが、今日はそうはいかない。


相手は紅魔女、セオは逆らえない。



「頂にあんな態度を取った罰、受けてもらうぞ!」


「貴様を今すぐ消し去ってやる!!」



おー、怖い怖い。


でも僕もやられる訳にはいかない。


頂と戦ったらまずいことになってたと思うけど…


こいつらなら多分大丈夫だろう。



「かかってきていいよ。

全員返り討ちにしてあげる。」


「くそっ、馬鹿にしやがって!」



それに、あんなに言ってしまったんだ、従うことしかしない奴らに、負ける訳にはいかない、でしょ?



「かかれー!!」



誰かの掛け声で一斉に向かってきた。


そして僕も魔銃を出そうとした時。



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