紅蒼ノ魔女(仮)
「あの…」


「今まで僕を護ってくれてありがとう。

だけどもういいよ。」


「……」


「君は君のしたいようにすればいい。」



せっかく僕から解放されたんだ。


自分の意志で、行動してほしい。


それが紅魔女に従うことだとしても、構わないから。


だからどうか、笑顔で。


悲しそうな表情はしないで。



「じゃあね。」



また会えるかな?


あっ、でも、今度会った時には敵になってるか。


お願いだから、戦争の最中には会いたくないな。


セオと戦うのには抵抗がある。



「僕はいつからこんなに弱くなったんだか。」



少しわかった気がした。


面白いことになるなら、セオとだって戦う。


以前の僕はそうだった。


別に面白いを基準にするのは変わっていない。


だけど、いつの間にか築かれていた周囲との関係で、その人達へ対しての僕の感情が変わっていたんだ。



「トラに課題達成したって報告しなきゃ。」



課題を達成した、でもそれで僕の力は戻るのだろうか?


正直言ってそうは…


いや、もう考えるのはやめよう。


疲れたし、面倒だ。


こういうのはわかってからでいいんだ。



「残された時間はあと少し。」



帰ったらまたリーシィとサイリを呼び出さなきゃね。


シュリアには見つからないようにしないと。


リーシィと言い合いになられても困る。


僕も黙ってられる自信はないけど。


ふと心が暖かくなった。


僕の答えはきっと、もうすぐ出る。



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