紅蒼ノ魔女(仮)
「連れて行く必要はないでしょ!?

ここで話しなさいよ!!」


「無理よ、貴方には聞かれたくないもの。」



まさかシュリアがサイリの部屋にいるとはね。


連れ出す途中で見つかるかも、とは思ってたけど。


シュリアがいるから、という訳もあるが、今日はトラもいるから、僕の部屋に行かなくてはならない。


帰ってくる途中にいたから呼び止めておいたのだ。



「私に聞かれて困る話とは何かしら!?」


「何でしょうね、想像してみればいいんじゃないかしら!?」



はぁー。


いつになったら終わるかな。


先戻ってていいかな?



「カイヒ。」


「なんだい、サイリ?」


心配そうな表情したサイリが近付いてきた。


お姉様達には世話が焼けるもんね、ホント。


と、思ったらどうやら違ったらしい。



「何かあったのか?」


「…何で?」



普通にしていた。


もう通常通りの僕になっていたはずだ。


なのに。



「辛そうな表情してる。」


「……っ!」



何故バレた?



「紅魔女、会ってきたんだろ?

何かされたか?」



さすが姉弟だ。


似ているよ、観察力が鋭いところも、優しいところも。


魔女を嫌っていなく、信じたいと思っているのに、魔女に何かをされたか?だって。


笑える。



「されてないよ。

それにサイリは魔女がひどいことをしないと思ってるんでしょ?」


「それは、そうだが…」


「じゃあ、そんなことは言っちゃダメだよね。」


「そう、だな…」



何を言っているんだか、僕は。


危険だ、と注意しているくせに庇うような発言。


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