紅蒼ノ魔女(仮)
今度は左だった。


髪によって耳が隠れていたため耳の後ろにかけてイヤリングを出した。


すると茶色だった髪がまた紅色にかわっていった。



「そう、それ。

そしてそれは今貴方自身で体感したように隠すことによって魔女の力…魔力が抑えられるの。」


「へぇー。

じゃあなんで魔女は敵対心を向けられてるの?」


イヤリングを引っ張ってみながら聞く。


うわ、これ取れないんだ。


不便だな。



「魔女は人間に不幸をもたらす。

私が小さい頃から言われてきた言葉よ。

…存在してはならぬ者、とかも言われていたわ。」


「悪いことでもしたの?」


「昔、魔女同士の戦争があったみたいで、それに巻き込まれた人間が大勢いたらしいの。

全て聞いた話だからどこまでが本当かはわからないのだけれど。」



戦争、ね。


僕みたいにケガだけですまなかった人が沢山いたんだよね、きっと。


でも、だからと言って。



「消そうとするのは間違ってるよ。」



自分の服の胸元をぎゅっと握り顔をしかめる。


ふふっと笑い声が聞こえてきた。



「私もそう思うわ。

だって魔女は弟を助けてくれたもの。」


「いい魔女さんもちゃんといるんだね。」



こっちの事情は知らないけど、どちらも生きている者同士だ。


お互い支え合っていくべきだよね。


とか思いながらも。


「君は人間の敵だね。」


「そんなではないけど。

人間の考え方に賛同できない者の一人よ。」


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