紅蒼ノ魔女(仮)
俺が動いたせいでガサッと草が揺れた。


それに気付いた影の人物。


良かった、と思ったのは一瞬で、次の瞬間にはバンッという音が響いていた。


何が起きたのかはわからなかったが、俺の背中は地面についていて。


倒れたのか、そうわかったと同時に痛みを感じ、撃たれたことも理解できた。


また魔女を1人やったぞー!!


そいつはそう叫びながら去っていった。


痛い、痛い。


あぁ、俺はここで死ぬのか?


もうダメだ、と瞳を閉じようとした時、救世主は現れた。


「大丈夫、これくらいなら治るから。」


男の人の声だった。


でも他にも誰かいる。


「良かった。

頑張って、すぐ彼が治してくれる。」


なんとか薄く開いている瞳に彼らの姿が映った。


何故見えるのだろう?


彼らの周りだけ光っているような気がする。


ぼんやりとしながらも2人を観察していた。


男は俺の傷口に杖をかざして何かを呟いていた。


女の方は眠っている小さな子供を抱いていた。


そして2人共、不思議な髪の色をしていた。


「髪…」


本当に小さな声だったのに彼女の耳には届いたようだ。


「魔女って知ってる?」


コクンと頷く。



「私達はそれ。

私は紅魔女、彼は蒼魔女。」


「悪い、奴…?」


「人間はそう思っているわ。」


と彼女は悲しそうに言った。


「よし、もう大丈夫。

傷口は塞がったよ。」


「そう。」


ほっとした声がきこえる。


痛みがない。


本当に治ったんだ。


「ありが、とう。」


「サイリー!!

サイリ、どこー!?」


大きな声が響く。


姉さんだ。


「……サイリ!!」


ぐったりとしている俺を見て焦ったような表情をした。


するとまた違うところから声が響いた。


「シェト様、ミィハ様!!

もう限界よ、はやく行かないと!!」


2人は瞳を合わせ、頷いた。


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