紅蒼ノ魔女(仮)
「傷口は塞がっているけど、体力が落ちている。

はやく休ませてあげて。」


「あの、貴方達は!?」


その時姉さんは、2人が魔女だということに気付いていないようだった。


俺と同じくらいの距離にいるのに変だなと思ったけど、もしかしたら魔女の力だったのかもしれない。


「はやく家に帰りなさい。」


紅魔女が蒼魔女に子供を渡す。


そして、自分らが何者かを言わないで立ち去ろうとした。


「あ、あの!!

弟を助けてくれて、ありがとうございました!!」


すると彼女は笑った。


「助けられて、良かったわ。」


「…行こう。

ネミアが待ってる。」


今度こそ去っていった。


最後に紅魔女が言った。


巻き込んでしまってごめんなさい。


この言葉は姉さんには届いていなかったようだ。



「紅魔女と蒼魔女は何かから逃げていた。

おそらく、2人の子供である小さな魔女を護るように強く抱きかかえて。」



…まさかの真実が明かされた。


いや、紅魔女と蒼魔女の不仲説は少し疑っていた。


普通なら少しは簡単に信じてはいけないのかもしれないが、サイリが嘘をつくとは思えない。



「その魔女はネミアと呼んだんだよね?」


「あぁ。」



僕はその名前を持つ者を知っている。


それに、シェトとミィハ。


この2人の名前も聞いたことがある。


どこかの本で読んだのか?



「俺は、紅魔女と蒼魔女が敵対しているとは思えない。」


「そうだね。」



もう一度、あいつに会わなくちゃね。


洗いざらい知っていることを話してもらおうじゃないか。



「サイリ、話してくれてありがとう。

僕ももう少し調べてみるよ。」



待ってろよ、あのチビめ。



「カイヒ。」



えっ?


寒気がした。


ただ名前を呼ばれただけなのに。



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