紅蒼ノ魔女(仮)
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「リーシィ、ちょっといいかな?」


「大丈夫よ。」



戦争はついに明後日になってしまった。


しかし、全ての真実は聞けていない。


そして、解決方法もみつかってはいない。



「…カイヒ、貴方サイリを避けているようね。」


「やっぱり、わかる?」



僕はあの日からサイリを徹底的に避けている。


またあの質問をされても答えることができないからだ。



「…お前は何者だ、そうきかれたんだ。

僕は人だって答えた。」


「納得しなかったでしょ?」


「もちろん。」


「あの子は意外としつこいところがあるもの。

今まで私以外には見せなかったけれどね。」



一見、大人に見えるが、まだまだなりきれてはいないということだろう。


それはいいかもしれない。


だけど、



「僕は話せない。

本当のことを、サイリには話せない。」



真実を求めて動き回ってる僕。


でも一番話していないのは僕なのではないのだろうか。


少し不安になった気持ちがリーシィに伝わってしまったようで。



「理由があるってことはサイリにもわかっているはずよ。

でも知りたいのよ、貴方のことを。」



リーシィの手が僕の頬に優しく触れた。



「だけど考えてみて。

貴方は本当にサイリに話せないの?」


「え?」


「『話せない』の?」



話せない…


違う、本当は。



「話したくない。

僕がここの世界の者ではなくて、実は魔女だって、話したくないんだ。」



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