紅蒼ノ魔女(仮)
リーシィの優しさなのかな。


まぁ何にしても、嬉しいや。


認めてもらえたんだから、喜んでいいんだよね。


今だけは…



「リーシィ、僕はまた紅魔女の頂に会いに行ってくるよ。

今度こそ、彼女の気持ちをきいてくる。」



リーシィは難しい表情をした。


心配してくれているのがわかる。


「…気を付けて。」


「うん。

だから、リーシィも結婚式の準備をサボってちゃダメだよ。」


「うっ…」



今城はとても忙しい。


何も知らずにサイリとシュリアの結婚式の準備を進めていた。


この前シュリアがドレスの採寸をしていたのを見かけた。


すごく幸せそうだった。


羨ましいって思ったな。



「そうね、私も働くわ。」


「うん。」



本当は嫌だけど、僕にはどうすることもできない。



「大丈夫よ。

結婚式なんてやらせないから。」


「え?」


「貴方が戦争を止めてくれる。

なら私は、結婚式を止めるわ。」



何を言ってるんだ、この人は。


この国の後継者の結婚を止めるだなんて。



「サイリが認めていればそんなことはしないのだけれど。

あの子が選んだ訳でもない子とは結婚なんてさせないわ。」



自分勝手でしょ、と笑うリーシィは綺麗だった。



「ありがとう。」



僕はこれしか言えなかった。



「僕は戦争を止めるまで戻らないと思う。

次に会うのは、全てが終わってから。」


「そう。

行く前にちゃんとサイリと話をしていきなさいよ。」


「…わかった。

それじゃ、また城を出る時に来るから。」


「ええ。」



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