紅蒼ノ魔女(仮)
「結構わかりやすかったわよ?」


「それは毎日僕のことを見ていたストーカーだからでしょ。」


「だから違うと言ってるわよね!」



わかった、わかった。



「僕には時間がないんだ。

さっさと行くよ。」


「絶対に貴方のせいよね…」



力がみなぎってくる…


なんてなれば、かっこいいのに。


僕自身特に変化はない。


普通にいつも通りに、前に進んでいるだけ。


それが今はなんだか不安であると感じるのは、おかしいのだろうか。


力強く…って訳でもないが、足を進めているのにそれは震えているような気がして。


何度も足が止まりそうになっている気がして。


あぁ、これが怖いということなのかもしれない。


失敗したら、終わりだっていう恐怖。



「やっぱりダメだ、トラ。」


「まさか、今更怖じ気づいたっていうのかしら?

行くのはやめる、とか?」



ニヤニヤした気持ちの悪い笑みで問いかけてくるトラ。


本当に気持ち悪い。



「ちょっと撃たせて、思い切り。」



はぁ、と溜め息をつきながら、



「仕方ないわね。

ちょっと、ならいいわよ。」



トラの許可がおりた。



「わかった。

思い切り撃つね。」


「ちょっとって言ったわよね!?

まったく人の話聞いてないでしょ!?」



聞いているのは虎の話ってね。


魔銃を出し、構える。


今は小さい銃を片手に持っている。



「発射よーい。」



と思ったら。



「トラさーん。

的がないよー。

だから…」


「わかってるわ、今用意するわよ。」


「いや、的になって。」


「本当に一度死んでくれないかしら……!」


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