紅蒼ノ魔女(仮)
そんなケチケチしなくてもいいじゃないか。


的ぐらい、やってくれても。



「そのせいで私が命を落とす可能性もあるのよ…!」


「今度こそ。

バンバンッてね。」


「ツッコミって可哀想よね。」



自分で自分を可哀想とか…


確かに可哀想な存在だね。


っと、集中しないと。


トラが用意してくれた的を次々と撃ち抜いていく。


銃声は森によく響いた。


落ち着く。


この音、撃ち具合が。


確実に僕自身の力で放っていることがわかる。


僕の力、魔法。



「よし、これくらいでいいか。」



腕をおろしたのは、トラが用意した的を全て破か…ではなくて、撃ち抜いてから。



「随分と上達したわね。」


「まぁね。

なんだかんだで修行もしてたし。」



たとえ戦争になっても勝てるように。



「…トラ、今回の戦争の勝ち負けってどこで判断するのかな?」


「…」



紅魔女と蒼魔女を仲直りさせたら。


全ての魔女を倒したら。


僕が生き残れたら。



「私は、戦争が終わるまでに止められたら勝ちだと思ってるわ。」


「そう、かな。」



止めることが目的なのだから、やはりそうなのか。



「でも貴方は、面白いことが起きたら勝ち、でいいと思うわ。」



ぽかん


まさかトラがそんなことを言うなんて。


僕はだらしなく口を開けてしまった。



「どうしたの、熱でもあるの?」



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