紅蒼ノ魔女(仮)
もう一度溜め息をついた。


イライラもあるけれど。


それよりも呆れてしまった。



「まったく、私の妹は。」


「私がどうかしたのかしら、お姉様?」


「…シュリア。」



ウェディングドレスを身に付け、着飾ったシュリア。


私の弟の結婚相手で、私の嫌いな人物。



「私は貴方のことを認めていないわ。

だから貴方のことを妹だとは思っていない。」



いつもより静かに言ったせいか、シュリアはたじろいだ。


しかしそれもすぐにもとに戻って。



「そ、そのようなことをおっしゃっても、今日の式をすませたら認めざるをおえなくなりますわ!」



ビシッと指でこちらを指してシュリアが言った。



「認めないわ、絶対に。」



真剣に、心からの言葉をシュリアに向けて発した。


すると、顔を真っ赤にさせて去っていった。


閉まった扉をじーっと見つめる。


またすぐに扉は開いた。



「姉さん。」



今度はサイリがやってきた。


服はタキシード。



「あら、サイリ。

控え室にいれば私から行ったのに。」


「いいんだ。

まだ時間はある。」



式開始は1時間後。


確かに時間はあるが。



「折角格好いいのに、崩れたらどうするのよ。」



そう笑って言った。


しかし、サイリは固い表情をしていた。



「カイヒは?」



私は黙って首を横にふった。



「…今日は来ないのか?」


「……」



私は何も言えなかった。


戦争を止めると言っていたカイヒは、今日ここには来れない。


だけどそれをサイリに教えることはできない。



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