紅蒼ノ魔女(仮)
とそこで思った。



「サイリ、貴方カイヒからきいた?」


「…何を?」



あの子、自分の気持ち伝えないで行ったわね。


結婚してからじゃ遅いのに!


まさか、言わない気っ!?



「姉さん?」


「なんでもないわ。

気にしないで。」



でも私から言うことでもないわよね。


仕方ないわ。


なるようになるはずよ。


と、自己完結した。



「姉さん、カイヒは何者なんだ?」


ドキッとした。


落ち着こう。


まだバレてはいない。



「何者って、カイヒはカイヒよ?

それ以外に何があるっていうの。」


「カイヒは、人間ではないのか?」



…これはもう気付いているわね。


諦めましょう、隠せないわ。



「…私の口からは言えないわ。

カイヒが戻ってきたらききなさい。」



あの子の本当の気持ちと一緒にね。



「…わかった。」



サイリはそう言うと扉に手をかけて出て行こうとした。



「サイリ。」



それを呼びかけて引き止める。


これで最後。



「貴方はこのままシュリアと結婚してもいいの?」



答えは決まっているけれど。



「俺は決められたことに従うだけだ。」



そう、貴方は言うわね。


しかし言葉はそこで終わらなかった。



「そう思っていた。」


「えっ?」



サイリは出て行った。


ふふっ


私しかいなくなったこの場所に、私の声が響く。



「なんだ、そういうこと。」



…カイヒ、さっさと帰ってきなさい。


私が、私達が貴方の帰りを待っているから。



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