紅蒼ノ魔女(仮)
「わからなかったんだ。

気にはしてこなかったことだから。」



レオラはクルの表情を見て、俯いた。


レオラもまた、まったく疑問を持たなかった訳ではないのだろう。



「…伝統、とか言い伝え、とか。

そんな感じで繋がれてきた。

それを簡単に断ち切れとは言えない。」



だけど、僕は思う。



「それでも、こういう風に仲間が増えていくなら…

当然だったことを考え直してみて、終わりにしてもいいんじゃないかな。」



ゆっくりとレオラに近付く。


そして顔を上げさせた。



「君の気持ち、蒼魔女の頂には伝わっていたと思うよ。」


「…貴方は会ったことがあるのですか?」


「いや、ないけど。」


「………」



なんとなくだよ、なんとなく。


今は言えないけれど。


紅魔女と蒼魔女の頂は繋がっている。


2人は仲良くはなくても何かしら合うところがあるはず。


紅魔女の頂は、仲間のことを考えていた。


だから人間を狙っているだと思う。


そしたら、蒼魔女の頂もきっと同じだと思うんだ。



「レオラ。

君の考えで動いて。」



迷いを見せるレオラに選択肢を与える。


これが最後のチャンスだ。


レオラについていっている翠魔女達はまぁまぁいる。


言い方は悪いけれど、一緒に引きずり込める。



「この戦争では沢山の魔女達が傷付くことになる。

敵はもちろん、味方だって。

そんな中、君はどうする?」



このまま傷付け、傷付けられるか。


戦争を止めて、負傷者を減らすか。



「レオラ、君は仲間思いだよね。」


「…カイヒ様。

先程から思っていたのですが、脅しが入っているような気がします。」


「そんなことはないよ?」


セオの言葉に笑顔で返す。


ほら、ちゃんと選択させてあげてるし。



「ならば、その右手に持つ物はなんですか?」



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