紅蒼ノ魔女(仮)
「何故、それを言わない!」


「いや、俺ら敵同士だったからなっ!?」



役立たずのクルのせいで…というのは冗談だが。


最初は味方がいなかったんだ。


情報が回るはずもない。


…トラはどう動いているだろうか。



「どういうことなのですか?」



レオラが言っている意味がわからないと質問してくる。


他にも首を傾げる者が多数。


「そっか、君達は知らないんだよね。

頂達最終の狙いは人間だ。

まぁ、最初?っていうか今日の本当の狙いは…」



僕の大切なあの人の。



「サイリ王子とシュリア姫の結婚式だ。」



ズキッ


胸の辺りが微かに痛んだ気もするが、なかったことにした。



「戦争が始まってからかなり、とは言わなくても時間がたっています。

もう乗り込まれている可能性が高いかと。」



セオの言う通りだ。


早く向かわなくてはならない。


しかし。



「この数相手にセオ達だけではさすがに無理がある。」


「それはどうだろうな?」



クルの魔剣が地に突き刺さった。



「響け、我の想い。

伝え、地を巡りその上に立つ者へと!」



クルが叫ぶと同時に、一部の地がひび割れ、敵も味方も全く関係なしに倒れていった。



「埋もれてる。」



大ケガをした者はいないと思うが、とにかく沢山の魔女が埋もれていた。


というか、地と地に挟まっている、みたいな感じ。


確かにすごい。


だが、やりすぎだと思うのは僕だけだろうか。



「どうだ。

別に俺だけじゃない。

みんな強いからお前なんていなくても大丈夫だ。」


「そうですよ。

だから早く行って下さい。」


「…因みにこれは、お前のやったことに比べれば全然やりすぎではないのです。」



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