紅蒼ノ魔女(仮)
「…悪いがそうもいかないんだよ。

そいつを殺すまで帰るわけにはいかない。」



そう発した紅魔女の頂の瞳は、憎しみの色に染まっていた。


人間を憎む気持ちはわかる。


だが、どうだろう?


その瞳に映っているのはシュリアだけだ。


何故だ?


俺は疑問を抱いた。


今日、この日、魔女達は動いた。


式とかぶったのは偶然だと考えるのが普通だ。


でもこの式場まで、頂が自らやってきて、式を…シュリアを狙った。


真っ先にだ。


今魔女の目の前で堂々と立っている、怖いもの知らずな姉さんも殺さずに。


偶然なんかじゃない。


確実に狙って襲って来たんだ。


じゃあシュリアが狙われた理由はなんだ…?


それにさっきから感じるこの違和感は…?



「一応聞くわ。

シュリアを殺そうとする理由は何かしら?」


「お前に話す必要はない。

邪魔だ、そこをどけ。」


「嫌だと言ったら?」



「お前ごと殺す。」



人間対魔女。


ただし、魔女の方にしか殺意はない。


姉さんは真面目な表情で、だけど少しだけおかしそうに真っ直ぐ魔女を見ていた。


そんな睨み合いとは言えないようなものを断ち切ったのは意外にも蒼魔女の頂であった。



「そんな無駄なことはお終いにしなさい。」



二人の間に入り何かを呟いたと思ったら…


その瞬間、大きな音が鳴り響き爆発が起こった。



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