紅蒼ノ魔女(仮)
「ゴホゴホッ……!!」




周りは煙のせいでよく見えない。



だが、しっかりと声はきこえた。




「まったく、最初からこうすれば良かったんですよ。」




静かに、冷たいトーンで言葉を紡ぐ。



それは紅魔女の頂とは比べ物にならないくらい恐ろしい声だった。




「人間なんて下らない生き物です。

いっそ抹殺してしまった方がいい。」




話し方からして優しいイメージを持っていた。



だがやはり、彼女は魔女であった。




「でも私達の今日の目的はそれではないですから。

大人しくしていれば貴方達には危害は加えませんよ。」




場に似合わず微笑みを浮かべているが、ほっとなんてできるはずもない。



こいつは違う。



従わない奴には容赦ないだろう。



だけど。



ここで黙る俺の姉さんではない。



………本当は黙っていて欲しかったが。




「最初からそうしなかったのは、そうする勇気がなかったからよ、ヘタレさん。」



「なん、ですか……?」



「まぁ貴方がヘタレかどうかはどうでもいいのよ。

さっさとシュリアを狙う理由を話してくれないかしら?」




こっちだって暇じゃないのよ、なんてこの状況からして有り得ない口振りを次々としていく姉さん。



爆発のせいで傷をおっているはずなのに、絶対に引こうとはしなかった。




「ふざけないでくれませんかね?」



「こっちはいたって真面目よ。」




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