紅蒼ノ魔女(仮)

王子

あれから3日、トラからの連絡はなし。


っていうか城に着いてから思ったんだけど、連絡手段ないよね?


携帯なんて便利な物はここにはないしイヤリングにも通信なんて機能はついていないだろう。


もしかして…


口ではあんなことを言っておきながら、魔法のつかえない僕は使い物にならないって捨てられたのかな?


それは困る。


せっかく退屈しのぎを見つけたのに。


なんて色々と考えていたら眠れなくなってしまって。



「夜空でも見に行こうっと。」



ベッドから出た。


この城には大きなバルコニーがついている。


そこからだと空が近く感じられて、とても綺麗に見える。


とくに夜は星がよく見えるから気に入っている。


その割には星にはあまり詳しくないけど。


まず星座、というものがあるのかさえ知らないや。


ゆっくりと暗い廊下歩いて角を曲がれば到着、というところで誰かの話し声が聞こえた。


どうやら先客がいるらしい。



「誰だろう?」



そっと覗いてみるとそこにはリーシィの弟でありこの国の王子、サイリと、その婚約者、シュリアがいた。


こんな時間に密会かな?


親公認…はちょっと違うか。


親同士が決めた結婚相手なんだから堂々と会えばいいのに。


そう思いながらとくに悪いとも思わず二人の会話に耳を傾けた。


内容によっては明日リーシィに報告しなきゃ。



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