紅蒼ノ魔女(仮)
すると嫌そうな表情をした。



「様はいらない。」


「しかし貴方はこの国の王子ですから。」


「この国の姫を呼び捨てにしてるのはどこのどいつだ。」



ここにいる異世界からきた僕ですね。


とは言えず苦笑い。



「ついでに敬語もいらない。

その方がお前も楽だろう?」


「じゃあお言葉に甘えて普通に話すよ。」



と、すぐに話し方を変えたら驚かれた…んだと思う。


サイリの表情の変化はわかりづらい。



「躊躇わないんだな。」


「躊躇ったよ、一回。」



ほら、しかし…って。


前は知らなかったから普通にリーシィって呼んじゃったけど、王子って知ってる人を呼び捨てにするのはねっていう理由が少しだけあったのと。


それ以上に、この事を知ったシュリアが爆発したりしないかな、って考えてみたりしたから一応躊躇してみた。



「サイリがいいって言ったんだ。

そこちゃんと覚えといてよ。」



後で僕が言われても君のせいにするから宣言だ。



「…変な奴。」


「ここには僕をほめてくれる人が沢山いるみたいだ。」



笑って流しておいた。



「それより僕、聞きたいことがあるんだよね。

今大丈夫?」



ダメって言っても話し出すつもりだけど。


自分勝手、これ、僕の性格。



「別に。」


「じゃあ聞くよ。

君は魔女をどう思ってる?」



サイリの身体が微かに、だけど表情よりはわかりやすく揺れた。


あらら、あからさまな反応。


直球過ぎたかな。



「何故?」


「食事した時、シュリア…様が魔女を悪く言った。

そうしたら君は部屋を出て行った。

機嫌が悪くなった感じ、だったような気がするんだよね。」



しっかりと覚えているくせに無駄に思い出すように言ってみる。



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