紅蒼ノ魔女(仮)
次の日、僕はリーシィに魔女の戦争の事を教えた。


てっきり式のことを心配すると思ったのだが、まず僕を心配してくれた。



「貴方はまた傷をつくる気!?」


「傷で終わればいいよね。」


「寝言は寝て言いなさい!」



真面目に言ったのに。



「カイヒ、貴方はこちらの人間じゃないのよ?

なのに元の世界にも帰れないまま死ぬ気!?」


「死ぬ気はないよ。

僕はまだ生きていたいからね。」


「じゃあ何故そんな危険な事に首を突っ込むのよ!」


「だから僕の役目なんだって。」


「それでもこの国の為にそんな…」



眉を寄せるリーシィ。


でも何か勘違いをしている。



「悪いけど、戦争に関わろうとしてるのは国の為じゃないよ。

自分の為。」



そう言うと首を傾げられた。


まぁ自分の為って言ったらわざわざ傷をつくる事が目的、みたいな意味ににとられちゃうよね。



「僕は常に求めているものがあるんだ。

その為だったらなんだってするよ、犯罪以外は。」



犯罪なんかしたらそれ以上、見つけることができなくなるからね。


いつまでも味わっていたいんだ。



「面白さをね。

僕はこういう性格なんだよ、リーシィ。」



わかっていただけたでしょうか?


あまりにも愉しそうに笑っていたんだろう。


呆れた声を出された。


僕はほめられるか呆れられるかしかないのかな。



「はぁ、それをこの国の姫に言ってしまっていいのかしら?」


「さぁ?

でもリーシィだから言ったんだよ。

シュリアだったら絶対言わないね。」



顔を真っ赤にして怒っちゃうかも。


それを想像して笑い声をこぼす。



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