紅蒼ノ魔女(仮)
さっき来た道を戻る。


なんとなくだけど、もうそろそろ連絡が来そうな気がする。



「ねぇどう思う、トラ?」


「…見つけるの早いわよ。」



窓の外にこの前見た時とかわらない姿のトラがいた。


やっぱり。


なんか気配を感じたんだよね。



「これでも気配をなくして来たはずなのに。

さすがね。」



さすがと言われましても…


ただの勘というものだと思うんだけど。



「いつ人が来るかわからないわ。

場所を移動するわよ。

裏の森に来て。」



そう言うとトラは窓のふちから飛びおりていった。



「僕も行くか。」



僕は普通に歩いて玄関を目指した。


いくら魔女だといわれても何も知らないうちから窓から飛びおりるなんて自殺行為をしたくはない。


ある程度魔法を使えるようになったら空も飛べるのだろうか。


そしたら気持ちいいんだろうな。


空から全てを見下す、もとい見下ろすことができて。



「裏門ってあったよね。」



そっから出ればいいだろう。


門番さん的なのがいるかもしれないけど出させてもらえるかな。


いざとなったらリーシィの名前を使わせてもらおう。



_________
___________


「あのー…」



僕は門のそばに立っている、前に見たことのある服装をした二人に声をかけた。



「カ、カイヒ様!

こちらに何か用があるのですか?」


「あぁ…

そんなに改まらなくてもいいよ。」



僕は人間の中では身分が低いんだから。



「あと、様付けもしなくていいから。」



最初は新鮮だったからそのままにしておいたけど、様付けは違和感がある。


どうも慣れないんだよね。



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