紅蒼ノ魔女(仮)
「出し方は知ってる?

知らないわよね。」



確かに知らないけどトラに言われるとなんだかなぁ…



「あんたの魔力をイヤリングに集中させて。

全てそこへとすのよ。」



目を閉じ、左耳に神経を集中させる。


するとふわっと身体が浮く感じがした。


実際足はついたままだけど。



「そう、そのまま。

そしてあんた魔道具を頭に浮かべるの。」



魔道具といっても…


一体どんな物を浮かべたらいい?


考えていると少しだけ身体が重くなった。



「集中が途切れてるわ。

いい?

考えてはダメ。

ふと頭に浮かんだ物があんたの魔道具よ。」



僕の、魔道具。


浮かんだ物は…



「あった…」



黒い影に覆われてはっきりと形は見えないのにそれが僕の魔道具だと、何故かわかる。


すると頭に言葉が響いてきた。



「『我が力をのせ、解き放つ物。

我と共にあり、我に従うことを誓い、今この手におりよ。』」



両手が光に包まれる。


それを前に出してからする広げる。



「おいで、僕の魔道具。」



そう静かに呟くと光がはじけ、僕の前で一つ、大きめな銃が空中で止まる。



「…銃?」



その銃には紅、蒼が混じったような輝く石がはめ込まれていた。


銃の色は暗い紫、といったところだろうか。


紅と蒼で複雑だけど、綺麗な模様が描かれている。


あれれ、てっきり杖だと思ってたんだけど。



「魔銃ね。」



また紛らわしいのがきた。


ほら、魔銃と魔獣。



「でもこんな色は初めて見たわ。」



じーっと穴があきそうなほど銃を見つめるトラ。


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