紅蒼ノ魔女(仮)
不思議そうに聞き返してくる。


そうだ。


リーシィのあの設定を使わせてもらおう。



「僕さ、ニッポンっていう小さな国にいたんだ。

だけどそこが襲われちゃって。

で逃げてきたんだけど…」



その時血まみれになった魔女姿の僕を助けてくれたって訳。


そう話をまとめた。



「だから正直紅魔女達が今何をしているのか僕にはわからない。

…もっと詳しいことは話せないからきかないでね。」



聞かれたとしても答えないだけだけど。



「仲間にはあまり会わないってことー?」


「まぁね。」



本当は魔女に会うこと自体、これが初めてだけど。



「だから上下関係を気にはしないのですか?」


「それもあるけど、やっぱり。

面白ければなんだっていいんだ。」



あくまで僕の考え。



「セオは人間を殺す…君達は消すという表現を使っていたね。

人間を消すことに反対なんだ?」


「いえ、あの…」



戸惑った表情を見せる。


大丈夫なのに。



「僕は紅魔女だけど、紅魔女ではない。

はっきり言ってくれて構わないよ。」



それでも数秒迷ってから少しずつ口に出し始めた。



「誰であろうと命を消すことは許されないと私は思っております。」



それがセオの想いなのだからシナはそれに従うはず。


それでも僕を消そうとしたのは…


紅魔女の意志だから。



「私達橙魔女が紅魔女様に逆らうことは許されないのです。

いかなる理由があろうとも。

たとえそれが間違いであろうとも。」



悲しそうに言った。



「カイヒ様にはわかるかなー?

橙魔女達を背負うセオリー様の気持ち。」


「さぁ?

わからないかも。」



だって僕は守るために戦っているのではないから。


だけどセオは立派だと思うよ。



「君みたいなのが魔女の頂に立つべきなのかもしれないね。」



僕の呟きは三人には届かなかったようだ。



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