紅蒼ノ魔女(仮)
「ってカイヒ様ー?

ケガ大丈夫なんですかー?」



のんきに聞いてくるユラハだが、他は二人ははっとなり焦り出した。



「申し訳ありませんっ!!

話に夢中になっていました!」


「今すぐ治療を…!」


「あぁ平気だから。」



見た目はヒドいかもしれないけど痛みはあまり感じていない。


もうひいてしまったんだ。


さすがに血はまだ止まらないかぁ。


まぁ派手にやられたしなー。



「僕は治癒力がいからね。

問題ないよ。」



ぐるぐると腕を回してみせる。



「それよりも僕は、君達がこの瞳をどう思ってるのか知りたいね。」



指を目の下におきトントンッと軽く叩く。


紅色になっていない、茶色のままの瞳。


君達からしたら不思議なはずなのに一言も聞いてこない。



「聞いてもよろしいことなら。

ですがカイヒ様、私達はそのようなことははなから気にしておりません。」



つまり聞く気はないみたいだ。


話したいのならどうぞ、という感じ。


深く突っ込もうとはしない、相手のことをよく考えた行動。


やっぱりセオは頂にふさわしいよ。



「っと、もうそろそろ帰ろうかな。

城の方々が向かってきてるようだからね。」



武器なんて物を用意してたんじゃないよね?


まぁ攻撃しかけられたら返り討ちにしてあげるけど。



「気配が近くなってるよ。

シナとユラハはさっさと帰って。

セオは僕と城に戻るよ。」



色々と聞きたいことがある。



「それじゃあまたあとで。」



走ってお互い反対方向に行く。


いつの間にか橙魔女から戻ったセオを見て、自分がまだ紅魔女なことに気付いた。


走りながら髪を結ってあるリボンをほどくため、手を頭上にのばした。


だけどその手はリボンに触れる前におろされた。



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