紅蒼ノ魔女(仮)
バンッ



とっさに出した魔銃から弾が放たれた。


銃音に驚いたセオが反対方向に進んでいた彼女達の方へと振り向いた。


僕もゆっくりと振り向く。


そこには魔弓を構えたまま呆然としているシナと少しだけ目を見開いたユラハがいた。



「シナ、ユラハ!」



セオが二人のもとに駆け寄る。


二人の無事を確認したあと、シナの魔弓をしまわせた。



「銃音はカイヒ様ですか?」



あれれー?


これ、もしかしたら僕が悪いとかなっちゃうのかな?


それは困るな。



「言っておくけど先に狙ってきたのはそっちだよ。

ね、シナ?」


「………」



無言は肯定の証ってね。



「後ろを向いたまま、狙えるのですか?」


「まぁ。

案外簡単だよ。」



今回もまた頭に声が響き、僕はその指示に従っただけ。


身体が勝手に動いただけだけど。



「シナ、弾は君の首の横を通っていったよね?」


「そうだよー。

それも狙ったのー?」



口を開かないシナのかわりにユラハが言う。



「うん。」



さっきは油断してたからやられそうになったけど、今、周りを気にしているこの状態で攻撃をあてようとしたらバレるに決まってる。


その辺はちゃんと考えるべきだったね。



「瞳が茶色、紅魔女達とも交流がない。

そんな僕に大切なセオを簡単に預けるわけにはいかないよね。」



預けるって表現もなんか変だけど。



「でもさぁ…」



何回やられても反応はできる。


僕にとってはどうでもいい上下関係。


だけどあの橙魔女達は気にしている。


そんな立場で上の者に攻撃なんて。



「君の腕、使えなくしてあげるよ。」



バンッ、と最後に一発撃った。



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