紅蒼ノ魔女(仮)
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「カイヒ様、あの…」


「大丈夫だよ。

気にしてないから。」



あの後僕達はすぐに別れた。


何回も魔法をつかったせいで結構煙があがってしまった。


いくら城からあの場所が見えなかったとしてもそれは僕達が見えないだけであり。


煙はバッチリバレているはずだ。


音はきっと聞こえていない…だろうが。



「僕は自分自身でもあやしいと思ってるからね。

シナは当然のことをしただけだよ。」



あのままセオと行くことを許すとも思わなかったし。



「ただ攻撃の仕方が甘かったね。」



そう言うとセオは驚きの表情を浮かべた。


今日はみんな驚いてばっかりだ。



「そんなはずはありません。

相当気配を消して放った魔矢だったはずです。

今まで彼女の相手になっていた私でも気付かなかったのですから。」



セオは恥ずかしそうに言った。


…嘘だ。


だって頭の中には正確な位置、速度、対処法が流れてきた。


だから完璧に攻撃を退くことができたわけで。



「カイヒ様はお強いですね。」



僕が強いのか、力が強力過ぎるのか。


まぁそんなものは決まっているが。


それは今の時点でのことで。


二人と別れた後に聞こえたシナからの言葉。


きっとテレパシーというやつだろう。



『セオリー様を傷付ける者はたとえ紅魔女様でも消します。』



それは低く冷たい声だったのに僕は面白いと思った。


僕はまだ僕の力に頼っている状態だ。


だけど、僕自身が魔銃を使いこなせるようになったら?


最高に面白い何かが待っているだろう。



「僕が引き出してあげるよ。」



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