紅蒼ノ魔女(仮)
『ロウジェ・フレニィ』


フレニィって、シュリアと一緒だ。


シュリアの先祖ってことかな?


何にしても魔女に関係しているだろう。


この場所に置いてあったのだから。



「カイヒ、セオリー!」



本を開こうとしたら聞き覚えのある声がした。



「書庫では静かに。

響くんからね。」


「貴方達、そんな暗い場所で何の本を読んでいたのよ?」


「ちょっと、ね。」



そっと、持っている本を後ろに隠す。


リーシィはきっと魔女の本が城の書庫にあることを知らない。


人から人へと伝わっていると聞いたから。



「シュリアのご両親が戻ってきたわ。

貴方達も来なさい、だそうよ。」


「何で。」


「より多くの人に知らしめたいんじゃない?

私達は結婚します、って。」



そんなに言わなくたってもう知ってるのに。


まぁサイリがシュリアを好きだから結婚するわけではない、そのことをシュリアはわかっているのだろう。


どうしても好きだから一緒にいたい。


そんな気持ちかな。


恋心は僕にはわからないけど。



「行くのはいいけど、まだ読んでいない本があるんだ。」


「何か読みたい本があったなら持って行っていいわ、だそうよ。」


「そう。

じゃあ遠慮なく持って行くとするよ。

…先に行ってていいよ。」


「場所は大広間らしいわ。

わかるの?」


「使用人さんに聞くよ。」


「わかったわ。」



それじゃあ先に行っているわね、とリーシィが出て行った。


隠していた本を目の前に持ってくる。


ここに何かが載っている。


知る人がいるかどうかわからない内容が。



「セオ、僕達も行こうか。」


「はい、カイヒ様。」



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