紅蒼ノ魔女(仮)
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「そんな攻撃では、私に傷をつけることはできないのです。」



自分の魔道具である魔剣をふるい、攻撃を仕掛ける。


だがそれはことごとくかわされる。



「そんなことはわかっている。

だが貴様に使うほどの魔力は持っていないん、だっ!」


「っ…!」



レオラの頬に傷ができ、血が流れる。



「傷を、つけられたみたいだな。」



まだ遊んでいたレオラの瞳が本気にかわった。


カイヒ様を傷付けたうえに、紅魔女様を、仲間を馬鹿にしたんだ。


きっちりとしなければ気が済まない。


レオラは血を荒々しく拭うと魔道具、魔杖を構えた。



「渦巻け、真炎。」



カイヒ様が受けた炎と同じ。


以前見たことのあるこの攻撃はかわすことが可能だ。


だが。


魔法でつくられたはずの炎が衣服に火をうつす。



「私は言ったのです。

『真』炎と。」



感情を見せることなく淡々と言葉を放つレオラ。



「先程人間に使ったのは偽炎。

熱は感じますが、ただ攻撃をぶつけるだけの炎なのです。」



真は偽とは違い確実に貴方を燃やしていくのです。


レオラはそう続けた。



「でもこんなものでは私を倒せはしない。」



魔剣から放たれる魔法で炎を消す。



「全ては承知のうえなのです。

私は貴方に魔法を、魔力を使わせようとしただけなのですから。」



考えることが大人のように見えるレオラはまだまだ子供。


しかも簡単に挑発にのるような。



「魔法を使ったら貴様はボコボコになるぞ?」


「その言葉は貴方に返すのです。」


「…行くぞっ!」


「望むところなのです。」



魔剣の刃が水に包まれる。


ただ本物ではない。


魔法を水属性に変化させるのだ。



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